旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

誰かにとって大切なものだから

若気の至りという言葉で済ませるのもどうかと思うが、私も若い頃だいぶアホだった。
今だったら後ろから回し蹴りしてやろうかというほどに。

 

その中の一つが、タイ・アユタヤ遺跡に行った時のこと。
ワット・マハータートという、木の根に仏像の頭部だけ埋め込まれた遺跡がある。行ったことが無くても写真や映像で見た事ある方も多いのではないだろうか。
20代の頃にここに訪れた際に、その仏像の隣で同じように首を突き出して写真を撮ろうとして現地の方に注意された。
その時、注意されて気が付いた。これは現地の人にとってはとても大切なものなのだと。
それをふざけて写真撮ろうとしている自分がとても恥ずかしかった。


外国であろうとなかろうと、誰かが大切にしているものが私にとって分からないものだとしても、バカにすること、揶揄することはとても恥ずかしいことだと20代後半でようやく学んだのだ。

分からないくせにバカにしたり揶揄したりする方がバカなのだ。学ぶのが本当に遅い。


そんな事を急に思い出したのは、長崎でキリシタン迫害の象徴でもある大浦天主堂に行ったからだ。


長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成群の1つで、江戸時代末期から明治時代にかけてのキリシタンの歴史を物語る貴重な建造物なんだけど。
その前でにこやかにVサインしながら写真を撮っている若い人たちを見て、かつての自分を思い出した。

 

多分「世界遺産」だからと来たのかなと。綺麗なステンドグラス、教会を見て「綺麗だね~かわいい~」みたいなと。
で、それをSNSに載せるのかな。「いいね」をたくさんもらうのかな。

自己承認のための世界遺産じゃないんだよと思ったけど、何も言えなかった。
私はあの時注意してもらって気づけたのにね。

 

あとから、そんなに自己承認欲求があるなら、飛行機で編み物したらいいよ!と思いました。
機内で編み物してると、CAさんがめちゃ褒めてくれます。窓際に座って、通路からは遠い席なのにわざわざ褒めてくれますよ。