旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

記憶になくても糧になる

 

 

私が子供の頃、母はめちゃくちゃ厳しかった。そして酒癖も悪かった。
しかし、今は孫にめちゃくちゃ優しい。「私たちが子供の頃、ばぁばは世界で一番恐かった」と姪たちに言っても全然ピンと来てない。

『責任ないからかわいがるだけでいいし』『子育て中は夢中だったけど、今ならゆとりがあるから』とか色々理由はあるらしい。

そんな中でもらした言葉が『私の方が先に死んで孫たちが覚えてなかったとしても、「すごく愛された」ことは大きくなっても分かるから』と。この「分かる」というのは、本人が分かるということだけではなく、周りにいる人たちも「ああ、あの子は愛されて育ったんだな」と分かるという意味もあるという。

なるほどなあと思って聞いていた。
無条件に全力で味方をしてくれる存在というのは、なかなか居ない。彼女たちにとって祖母はそういう存在なのだろう。
母が死んで、私たちが死んでも彼女たちが思い出してくれるうちは母はずっと生きている。
私たちの中で大正生まれの祖父がずっと生きているように。