旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

技の伝承

私は家庭科の課題は全部親にやってもらった。
威張っていうことじゃないけど、ボタン付けもちょっとした繕いものも全部やってもらった。


そんな私が今や手芸、裁縫にハマってるのだから人生とは分からない。


母はそういう系の仕事をしていたこともあって、一通りできるし器用だ。糸通しも「老眼で見えない」と言いつつカンで通す。
そんな母曰く、「私よりおばあちゃんの方がもっと上手だったし、器用だった」と。
祖母はとっくに鬼籍に入っており、もうその内容を確認するすべはない。

 

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今の私の手芸の師匠は母だ。待ち針の向き、異なる素材を縫う場合の小技、針と糸の組み合わせ…
本に載っていないけれど、こういう技というのはすごく大切だと思う。母が死んでしまったら、それを受け継ぐことが出来ない。墓場に持って行ってしまうので、目に見えるモノと違って遺産のように受け継ぐことが出来ない。だから、今できる限りそれを出来る限り受け継ぎたい。

まあ、聞いても出来るとは限らないのだが。


数年前、大好きな歌舞伎役者が亡くなった。彼の息子らも私は大好きだったが、当時まだ30代。父の技を全て受けついだとは言えない頃だった。
亡くなったら、もう教えてもらう事が出来ない。今は便利な世の中だから、映像があるかもしれないが、それではやっぱり限りがある。


歌舞伎と私程度の手芸ではレベルが違うが、それでも受け継ぎたいと思う気持ちは一緒だ。

農家の娘の友人が働く両親に代わって、同居する祖母の料理を意識・無意識で受け継いだという。母が半ば嫌そうに(笑)
「あんたはお義母さんの味を受け継いだ」と言うそうだ。母上は嫌がってるらしいが、本人は祖母の味が大好きだったそうで、喜んでいた。
そういうことなのだ。


その人が亡くなっても、子供や孫の中にその人がが生きるということじゃないだろうか。それは血縁関係だけじゃないね。

 

目に見えない財産、遺産は税金かからないんだから、どんどん受け継がないとね。