旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

【読書メモ】テムズとともに

 

ある時SNS彬子女王の『赤と青のガウン ―オックスフォード留学記―』のつぶやきがあって、面白そうなので図書館で借りようとしたのだけど。
私が利用するところでは蔵書ではなく、代わりに?これを勧められて何気なく読んだもの。
(実際には予約待ちで数か月待った)

今の天皇今上天皇)の親王時代というか昭和の頃にオックスフォードに留学した頃の自著。1993年に一度出版されたのだけど、今年学習院の創立150周年記念事業として復刊されたのだそうです。
そんなこと全く知らずに、昔の本なのにずいぶん人気なんだなと思いながら予約を待っていたのだが、読み進めていくうちにあまりにも面白くて、出版の背景を探ったのである。

先に言っておくけど、私は尊王とか天皇好き♡みたいなミーハーな感じも全くないのだが。
まあ、この本がとても面白かった。あまりにも面白いので、自腹で買ってしまうほど。

 

おそらく陛下はとても几帳面なのだろう。当時のことをかなり詳細にメモをとっていたのだと思う。
2年間の留学期間のことが細かに描かれている。
私たちが仮に留学するとしても絶対あり得ない経験をしたり、逆に当たり前のようにしていることを初めて経験したり。

例えば私たちは学力や経済面の事情はあるものの自分で留学先を選べるが、陛下ともなれば留学先(学校)はイギリス政府に一任するとか。留学決まってイギリスに渡航したら女王陛下(当時)の私的なティーパーティーに招待されるとか。2年間ずっと毎日警備員がつくとか。

逆に、留学生活によって初めて銀行というものに行ったとか、初めて洗濯機を使用して洗剤入れすぎて泡があふれたとか。

おもしろい、楽しい、そういう安直な言葉を使わずに、それでも陛下がとても生活を楽しんだことが伝わってくる文章力。
ユーモアもあり、驕ったところはないけれど、幼少期から教育というか訓練を受けておりいろんな意味で自分をコントロールする術を心得ているのがわかる。だから、決してイギリス料理をけなさない(笑)
さらに多岐にわたるスポーツ、登山、クラシック、オペラと造詣が深く、とても好奇心旺盛なのだなと。小学生高学年の頃にはお母さんと一緒に「奥の細道」を読破したんだって…すごくね?
私なんて1ページもみたことないよ。

読んでいると、陛下がとても魅力的な人物だということがよくわかる。こんな方が自分たちの国の象徴だとは、なんて誇らしいのだろうか。
万が一これがゴーストライターが書いたものだとしたら、私はその人の本もっと読みたいよ。

ということで、少し時間をおいたらまた再読したいなと思っています。