本の整理をしていたら、懐かしい本が出てきて久しぶりに再読。
…実は途中まで同じ著者の『理由』と間違えていた(汗
どちらも好きな本。
いやー、昔読んだときと同じように面白かった。
多分私が宮部さんを読むようになったきっかけの本じゃなかったかな。
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
平成初期の頃に書かれた本なので、もう30年くらい前なんだね。
色褪せないな。
これは高校卒業と同時に田舎から出てきた若い女の子のカードによる自己破産者がストーリーの軸になっているのだけど。
おりしも18歳が成人ということで、あちこちで(金銭的な意味で)騙される、ローン契約の話などがずっと話題になってるからツールは変わっても、普遍的な内容なのではないだろうか。
私が初めてカードを持ったのはこの本が発刊されてほんの数年後のことだけど既にそういう狂想曲は落ち着いていたように思う。少なくとも私の周りでは。
カードを使った感想も、便利だなというより「結局後で金減るんやから、使い過ぎたら苦しい」というごく当たり前のことだった。
カード破産の軸とともに、もう一つ軸があるのだが、それはネタバレになるので言わずにおこう。
ただ、作中に出てくるたもっちゃんの奥さん郁美が言う内容がとてもいい。どれもいい。
文中にあるように「きちんと目を開いて生きている」と思う。学校の成績や偏差値、政治経済を知ってるとかそういうのじゃない。
自分や人の力量を分かったうえで、諦めず欲張らず生きていくって難しいと思う。人は誰でも自分を大きく見せたかったり、人や何かのせいにしたり、諦めて生きて行ったりする。
それらを受け止めて生きていくのが結局大切って私はこの年になってようやく知った気がするけど、作中の彼女は既に(恐らくアラサー)それを心得ている。
いい嫁さんだよなと。
たもっちゃんとずっと幸せでいてほしいなと思った。いや、フィクションですけど。
うーん、久しぶりに宮部さんの他の作品も読みたいな。
時代ものも面白いけど、今はミステリーが読みたい。