谷崎潤一郎の代表作の一つですね。
これまた今更読むよ。
読む前の私のイメージは「おっさんが若い女の子を自分好みに育てて食っちゃう話」だったんだけど…
読み終えてみると、食われたのはおっさんの方だったのかな。
おっさんと言っても私より若く、現代風に言えば高給取りのちょっと冴えないアラサー男子がカフェー(当時はどちらかと言えばキャバクラに近そうな立ち位置)で働き始めたおぼこい女子を自分で育てようと引き取る。
しかし、育て方が下手だったのか本人の性質だったのか、あるいは両方だったのか、妖艶なあばずれに育ってしまって、結局彼は彼女の言いなりの人生を送ることになると。
まあ、そういう内容だった。
でも、思ったより救いのある内容というかオチだったと私は思う。
仕事も止めて日雇い労働とかになるのかと思いきや、それじゃ彼女が満足するはずもなく一応会社興して洋館買ってなんとかやってるわけだし。
何が幸せかは、本人にしか分からないものだしさ。
まあ、終始イライラしながら読んだけど(笑)
そんな女、クソだぞと思いながら本当にイライラしたわ。びしっと言ったれ、びしっと!という至極真っ当な事を思ったけど、恋愛というのは他人が何か言うのがどれほど野暮なものなのか、若き日々の自分を振り返ってもよく分かるよな…
私は誰かの奴隷のように生きるなんて絶対嫌だし、相手にもなってほしくない。なんでもいう事聞いてくれる奴隷みたいな恋愛相手なんて欲しくないよ…
ただ、これが現代の価値観をもつ私が読んだのであって、これが大正の「男女七歳にして席を同じゅうせず」みたいな価値観の頃の作品としたらすごいよな。
この作品ではないけれど、谷崎作品には発禁になったものもあったりしたそうで、やっぱり頭がいい人は違うわーみたいな気持ちにもなった。
さて、今は別の作家の本を読んでいるので、そちらが終わったら谷崎作品のこれまた代表作、細雪を読もうと思います。