旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

【読書メモ】総統とわたし

少し前に90年代に書かれた李登輝氏の本を読んだと書いたが。


もう1冊読んだ。

 

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ちょうど読み終えるころに、某国共産党100周年でトップのじじいが「台湾なんとしても併合したるからな」的な事を言っていて憤慨とも悲しみとも何とも言えない感情になった。


李登輝氏の亡くなるまでの8年間、秘書として仕えた早川友久氏の本。早川氏は私とほぼ同年代。
李登輝氏に対して、限りない尊敬の念を抱きつつも冷静に書かれているので前の書籍よりずっと読みやすい。これはご本人の性格かもしれないけれど、台湾人ではなく日本人であるからこそ少し離れた目で見られるとか年代が全く違うからこそ冷静に見られるというのもあるのかな。


彼が居なければ台湾がこのように開かれた民主主義にはならなかったのだろう。どちらの著書を読んでも李登輝氏の功罪の「罪」は出てこないけれど、恐らく「罪」もあったとは思うんだよね。人間だから。
それでも、彼ほどの傑出した人物はそれを凌駕してあまりある「功」が大きかったのだと思う。

アジアの国々にはこういった建国の父と呼ばれて、今も尊敬される政治家がいて羨ましいなと思うよ。


日本に国民の多くが思い浮かべるような人いないよね。
個人的には児玉源太郎氏が好きだけど、それはおそらく某小説の影響が大きいね…(笑)

李登輝氏の「私は23歳まで日本人だった」というセリフは有名だけれど。彼は率直なところ、戦後の日本をどういう気持ちで見ていたのか。特に21世紀以降の日本を。
彼が自ら志願してまで戦争に参加するほどの国だった日本。その時のように素晴らしいと本当に思える国だったのだろうか。

読んでいると、日本に対する愛情と切願をひたひたと感じる。日本を買いかぶりすぎでは…と思えるほどに。今の政治家で彼の期待に応えられるような人いないよ。
某大国に「遺憾です」しか言えない人たちばかりよ。
…大国どころか隣国にも言えないけどね。慰安婦とか強制徴用とか、日本の歴史の時間にもちゃんと「真実」を教えるべきだと思うけどね。敗者は歴史を語れないわけじゃないでしょうが。


話逸れちゃうけど、同じ植民地支配においてどうして台湾と韓国はこんなに違っちゃったんだろうなといつも思う。
台湾では日本統治時代の建物も戦後ずっと使われてたじゃない。リノベが流行る前も「使えるものは使っとけ」みたいなたくましさがあるのではないかと思うのだけど。建物に罪はないからね。
韓国で統治時代の建物って、ソウルでも数か所しか残ってなかったはず(渡航歴20回以上あります)
やっぱり「恨」の文化なんだなと、K-pop大好きな友人が言っていた。K-pop好きでもそう思うのね。
20回も行っといてなんだけど、彼らのそういう根性にうんざりなのでもう行かなくなってしまったが。食べ物美味しいし、親切な人もいるんだけどね。

 


書籍に話を戻して。
過去の歴史(日本統治以前)をたどっても、台湾を中国の一部として扱うことに違和感があるのは私だけでしょうか。
国民党が来たばかりの頃ならいざ知らず、台湾でも中国に飲み込まれることを望む人は少ない。ましてや昨今の香港を見ていたら尚更だろう。


一国二制度ではなく、もう別の国なんよ。中華民国でもなく台湾なんよね。
アメリカも色々言うくらいなら、台湾と「国交」結んで欲しい。

国民党という悪しき内側から出た政治家と言うことで、私は彼をちょっとゴルバチョフっぽいなと思っていたのだけれど。
だいぶ違ったね。
でも、どちらも自浄作用が働いたということだと思うのよね。
それが行きついた先はちょっと…だいぶ違ったけれど。

李登輝氏から見た蒋経国についても触れられていて、それがなかなか興味深かった。
本心は分からずとも、一度も蒋経国悪く言うことはなく、彼から中国人(=大陸から渡ってきた人)の扱いを学んだと。これ面白いなーと。台湾人を扱うのと中国人を扱うのは別の話だという事、政治経験のなかった李登輝氏が蒋経国の元でいかに学んでいたかという事、いろんな事が読み取れる。


この本、なかなか私的には面白かったので買いたくなってきた。
ああ、どうせならペレストロイカの本読んでみたいな。