旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

鳥獣戯画展に行ってきた

紆余曲折あった特別展 「国宝 鳥獣戯画のすべて」。
本当にスタッフの方々の努力によって、会期・時間等を延長してくださったおかげで6月半ばまで開催となった。

チケット争奪戦・土日の部に負けて、平日最終回に行ってきた。正確にはチケット自体は(トーハクの会員なので)持っていて、予約が争奪戦だったのだが。

 

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動物に興味がない(なんだったら苦手)なのだけど、そんな私でもナマで見たら思わず笑みがこぼれてしまった。
筆で描いた迷いのない線はどうやったらかけるんだろう。鉛筆で下書きなんてことも出来ない時代に、あんな風に描けるなんて天才じゃね?と思った(天才です)
ほんのわずかでも線がずれたら、バランスが崩れるだろうに、絶妙なラインで動物や人間や草花を描いてる。
多くも少なくもないラインで。
色を塗ってごまかすこともできない、墨だけの世界。
本当すごいなーとしか、感想が出ない。


会社を定時で抜けて、猛ダッシュで言ったのだけど。蒸し暑くて汗がだくだく流れてイライラしたけど。
昨今の美術館にしては人が多すぎて、イライラしたけど。

実際の鳥獣戯画をみたら、もうそんな気持ち吹き飛ぶ。

本当にすごい芸術作品、絵に限らず歌でも書でも、人の心をあっという間につかむよなー。
そこには上手い下手以外の何かがあるんだよなと思う。

やっぱり心の栄養なんだな。

 

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第一部で鳥獣戯画の甲乙丙丁4巻を展示していて、第二部では鳥獣戯画にまつわるエトセトラを展示していた。(実際はもう少し違う言い方だけど)
後の時代に鳥獣戯画を模写したものとか、鳥獣戯画を切り取られて掛け軸にしたもの(されてしまったもの)とか。
この模写を見ることで、ますます本家本元のすごさを思い知る。と言ったらインスタフォロワーさんも激しく同意してくれた。
そんな中、狩野探幽だけが模写じゃなくてオリジナル作品化してて、宮本浩次さんが歌う赤いスイートピーみたいだなと思った(わかりづらい説明)

あと、戯画がある高山寺の高名な坊さん・明恵上人(鎌倉時代の僧)の木像が飾ってあって、今回の展示にあたって像の中に巻物が入っていることが分かったんだって!
ただ、現代の技術では像に衝撃を与えずに巻物を取り出す方法がないとのことで、どんな巻物かは不明…私が生きるうちには分からないかもね~。


この明恵上人が天竺に恋焦がれて、和歌山だかどっかの浜で拾った石を大切にしたそうで、それも展示されてた。
わけわからん石(言い方)なのに、めっちゃ立派な装飾のいれものに入ってるの。

「 蘇婆(そば)​石」「鷹島(たかしま)石」という石なんだけど、海外に行けない今、ちょっとその気持ちが分からないでもない…と思った。え?私と同レベルにするなって?えへ。

 

観終わった後、興奮を冷ますためにもカフェとか行きたかったんだけど。
8時なのでどこも開いておらず。(東京は緊急事態宣言下)悪名高き上野では飲み屋なら開いてるようだけど。(通りの反対側からちらりと見えた)

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駅のベンチにしばし座ってぼんやり余韻に浸ってから帰宅。

楽しかった。心の栄養って本当大事ね。