旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

【読書メモ】台湾海峡一九四九 その2(読了)

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ようやく読了。

 

感想がまとめきらないけど、でも読了した瞬間の想いを残しておきたい。

なので、文章がぐちゃぐちゃかもしれない。

 

漠然と知ってはいたけど、台湾の人が「日本人」として戦地に赴いていた。当初は純日本人ではないから、戦争に連れて行ってもらえなかったが、戦争末期に人手が足りずに行くようになる。

そうだ、「連れて行ってもらえなかった」のだ。戦争に行くことが名誉だったのだ。

中国では対日戦をしていたというのに。

本の中での日本人は中国人に対して残虐の限りをつくした描写もあれば、こういう台湾人の感情も描いてる。著者自身は親日でも反日でもない中立の立場から日本を描いてる(実際はどうかは知らない。書籍の中では中立)ということを考えると、不思議で仕方ない。そこから李登輝氏を思い出した。
彼もまた自分は日本人であると言って憚らなかったではないか。

靖国神社にも祀られてるそうだが、「台湾の靖国」と呼ばれている台湾籍日本兵が祀られてる神社が北埔(新竹)の南天山済化宮にあるそうだ。
いつか再び海外旅行ができるようになったら、一度行きたいと思った。

台湾が好きと言ってる人々にもこの事実をもっと知ってもらいたいと思った。


そして国対国より内戦の方がえげつないなと思う。国共内戦だけでなくベトナム戦争もそうだろう(あれは国対国の側面も大きいけど)
日本が戦争に負けて、ようやく解放されたと思ったら本土から来た中国人(外省人)が酷かった、水道というものを知らなくてあの蛇口があれば水が出ると思って略奪していったというエピソードなどをよく聞くが。
この本を読むとさもありなん、と思う。彼らのほとんどが大陸の方々の未開の地から来たのだから。

この後中国は文革へとひた走るわけだけど。今も昔も庶民がどれだけ死のうが苦しもうがどうでもいいんだな、かの国は。
あれだけ人口があれば、屁でもないのだろう。
…いや、それはかの国だけだろうか。

本の中でも出てくるけれど、あの時代、些細な選択によって生死を分け、国を分け、生き方を大きく分けてしまった。
恐ろしい。
例えば、転職とか大きな買い物(家とか)とかそういったことは誰だってよく考えるだろうけれど。そうではない。明日どこそこへ商売に行こう…と行ったら、もうそこで兵として連れ去られたりする。内戦に巻き込まれそうで、夜逃げ同然で列車に乗れば緊急停車し、再開を待つか歩いてでも逃げるか…
どちらが正解だったのかは誰にも分からないだろう。


とにかく、この本を通して一番強く印象に残ったのは戦争はよくない、という子供みたいな感想だった。


この本が長く読み継がれることを願う。中国では発禁とのことだが、それがある意味大きな文学賞みたいなものだと書いてあった。
中国、香港の人々が台湾旅行の際に本書を買い求めるそうだ。


そして、この本を書いていた頃著者は香港大学にいたようだが、今どうしているのか気になる。
(日本語検索では消息が分からなかった)