旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

【読書メモ】台湾少女、洋裁に出会う

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読書好きだったのに、スマホになってからめっきり読まなくなってしまった。

最近、会社近くの図書館にちょこちょこ行くようになって、主に手芸の本が多かったのだけど。
たまたま、通路の通りがかりに見つけた本が面白そうだったので借りて、読んだらハマってしまった。

Amazonより
日本統治時代、1930年代の台湾に「洋裁」に夢を託した少女がいた。因習的な社会のなかで育った少女はやがて、日本人が経営する洋装店で見習いとなり、東京に留学を果たす。帰国後は時代の波に翻弄されながらも洋裁学校を開校、台湾女性の社会進出をあと押ししていく。母が息子に語ったオーラルヒストリーから、台湾の近代が浮かび上がる。


台南を舞台に、著者の母親の半生を紐解いていきながら、台湾女性の生き方の変容が描かれている。
2013年に統治時代の目抜き通りのシンボルだったハヤシ百貨店がリノベーションでショッピングモールとしてオープン。私が初めて台南に行ったのは2009年夏のことで、それから何度となく行っている。

 

その統治時代から、戦後の復興期~21世紀までの台湾女性史とも言える著書。
私の祖母くらいの年代の女性が、洋裁を通して生きていく人生そのものを描いている。

息子である著者はその母に特別に感情移入することもなく、台南の生き生きとした街並みと生き生きと生きる母親を粛々と描いている(と思う)

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昭和初期、洋裁は女性が生計を立てられる数少ない手段であったこと
統治時代の日本と台湾の関係
戦後の生活の立て直しから、再び大好きな洋裁を仕事にできたこと
台湾の経済成長と共に洋裁が一気に普及したこと
そして、既製品の普及により洋裁が衰退すること

 

どれもこれも、台湾だけのこととは思えない内容だった。


台湾の日本礼賛も痛罵もどっちもあるんじゃないかと思うけど、これはわりと中立の立場で絵が描かれてるように思う。
中立い書いてるように見える著者だけど、この本外に魚釣島尖閣諸島)についても書いており、それも翻訳されているようなので、ちょっと読んでみたいなと思ったわ。


多少の時代のズレがあるにせよ、日本の女性も同じように発展してきたんじゃないかなと思う。


読んだら、台南の細い路地を歩きたくなりますよ(笑)

 

 

台湾少女、洋裁に出会う――母とミシンの60年

台湾少女、洋裁に出会う――母とミシンの60年

  • 作者:鄭 鴻生
  • 発売日: 2016/10/11
  • メディア: 単行本