旅と食と糸と花

旅が好き、食べることが好き、こぎん刺しを嗜み、花を愛でる、でもどれに関しても無知な妙齢会社員の日記

◯◯警察

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きっかけは青森出身の友人だった。

青森の伝統的な手仕事、こぎん刺しは江戸時代にまだ木綿が高価だった頃、庶民は麻しか着ることが許されなかった時代に少しでも保温性を高めるために布に刺したのが始まりと言われている。

一時は他の伝統工芸のように廃れたようだが、今は機能性というより見た目のかわいらしさから少しずつ知られている。多分。

地元の星野リゾートスターバックスなんかでも、装飾やインテリアに用いられていて、知ってる人もいるのではないかしら。

青森出身の友人が刺しているのを見て、私も興味を持ちWSに参加したのが2017年4月のこと。
そこから2年くらい何もしてない時期があって、コロナの直前にまた「こぎん熱」が高まり、旅に行けなかったこの1年はこぎんが私に与える安らぎも大きかった(イライラも大きいが)

少し前に知人の紹介で、こぎん刺しのワークショップに参加した。
久しぶりに自分以外のこぎん好きと話せると思ってワクワクしながら参加したのだが…

この講師がまあ酷かった。あんな人久しぶりに見たなと。

色々とユーメーなところで教室を開いているそうで、元々教員をやっていたらしいが。上から目線、「教えてやるんだ」の姿勢、誰の話でも全部自分の自慢話に切り替える…
初めてこぎんをやる参加者が教材の中からこれをやりたいと選んだが、「初めてならこっちがいいわよ、こっちよ」…選ばせる意味とは?
こぎんをある程度やってる私には、「あなたの知識がどのレベルか知りたいから図面書いて」…こぎんを刺せると聞いて参加したWSなんですが。図面引きとは聞いてないわよ?

前述したとおり、こぎんは元々裕福ではない津軽地方が発祥であるゆえ、糸を大事にしないといけない、こぎんとはかくあるべき…

糸を大事にって言ってる割に、予めすべての糸を一定の長さに切って(これはこれで刺繍や刺し子の世界では正解なのだが)、生地の真ん中で継ぎ足しは許さない(これもこれで一応正解なのだが)、しかし生地の長さと糸の長さを調整してないから、端から端まで刺したら、すごい糸が余っていてもそこで糸を変えてるのよね。
「糸大事」とは…?

とにかく自分の固定観念でのこぎん刺しがあって、それ以外は認めない。こぎん「風」でしかないんだそう。
巷でいうところの◯◯警察、こぎん警察だ。
本当にユーメーなところで教室やってるのだろうか…

私含め、他の参加者もある程度言いたいことを言ったが、お話しにならないので、途中からもう誰も聞いてなかったのだが。

これが初めてのこぎん体験だったら、私絶対ハマってなかったよなと。ちっとも楽しくない。
私が最初に参加したWSでは下手は下手なりに、ルールはあるけどそれに囚われなくていいよと言ってくれた。
でも、最初はルール通り一生懸命刺した。

それでいいんじゃないかな。

こぎんに限らず歴史や背景、基礎を知ることは大切だと思うけれど。それに囚われて、こぎんが先細りするよりも受け入れられる形でいいからすそ野が広がる方がいいと思うんですよね。
そこから伝統的なものに進む人もいるだろうし。

私が作ってるものは、こぎん警察のパトロールでは即刻逮捕だ。
でも、作ってる作品に1ミリも心を動かされないような人に言われても痛くも痒くもないわい。

弓道の型じゃないんだから、自由でいいんじゃない?どうなの?